2012年5月10日木曜日

冨樫義博先生のネームの作り方

冨樫義博先生はヘタッピマンガ研究所Rにてインタビューに答えています。





「基本的には漫才ですよ。ネームにする前に紙にキャラ達のセリフのかけ合いを書き出すんですよ」


「その中でキャラ同士がそいつららしさを守った上での最良の一手をボケツッコミみたいな感じでバンバンかぶせていくんです」


「そんで論理展開させてってー 最後は主人公がそのずっと上をゆく解(オチ)を打ち出す」




なるほど~確かにHUNTERXHUNTERのキャラ同士のやり取りってリアルで生きてる感じがします。

特にキルアがゴンとのやり取りでさみしくなっちゃうのがキュンときますよね。




”最後は主人公がそのずっと上をゆく解(オチ)を打ち出す”


確かにゴンとパームのやり取りやデートは圧巻でした。




「基本はキャラ達と相談するかんじでやってますよ」


「例えばキャラが二人いて片方が、『オレはこっちへ行って戦う』 もう一方が『オレはこっち』と別行動にする展開にしたいとしますよね」


「作中では省略されていてもそういう展開になるまでの経緯をセリフの掛け合いとして紙に書きだしてみるんです。ホントにそんな結論になるのかなっていう検証作業みたいなもんですね」


「その過程で『あ こいつの性格だとこっち行きたいとは言わないな』となったらその展開はボツにします」






ナニカの能力でゴンを治した後、キルアはゴンではなくアルカとともに生きることを選びます。そして別れ際にゴンを治したのはナニカだったことも告白します。あの展開は悲しいけれどキルアと相談した上でのことだったんですね。




作者がこんな展開にしたいってことだけが先行してしまうと「え?そのキャラの動き不自然じゃない?」って行動したりしますよね。キャラが自ら動いてないってゆーか。腹減ったからって勝手に一人でどっかいっちゃう海賊とか。論理的(ロジカル)じゃない展開を見ちゃうとすごく萎える。




「ヒーロー戦隊ものってあるでしょ?あれ子供の頃初めて観た時にポーズ決めてる主人公に一切手を出さない敵に納得いかなかったんですよ 逃げもしないし」


「敵が自分の能力や弱点を大事なとこでベラベラ喋っちゃったりとかね 子供ながら理不尽すぎるだろって思ってたんです。だからなるべくそうしたくはないんですよ。全員が死力を尽くしてる感じを大事にしたいというか」



これすごくわかります。読者に説明する方法って色々あって、キャプテン翼とかスポーツ漫画だと実況や解説がその役を担います。自然なんだけど「え?こんな小学生の予選の試合で実況?」って展開も。

バトルものだと同行キャラが解説専門キャラになる塾生がいたり、弱いのに解説のためだけにその場にいて殺されなかったり不自然だな~って思うことも多々。奇妙な冒険もとどめを刺す前にベラベラ自分で説明しちゃうところが萎えちゃうんですよね。

HUNTERXHUNTERはその辺、どこまでは頭のキレるキャラに語らせて、どの部分はナレーションにするかというのが徹底していると思います。




冨樫先生はシナリオ力を高めるために色々な努力をしてきたそうです。




例えば短編小説を読んでそれを長く伸ばすんだったら自分だったらどうするか考えたり、面白くない映画を観ながらこうしたら面白くなるってメモしたり






やはり「なぜ」「自分だったらこうする」と考えることって大切なんですね。





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